2016/07/09 12:00
先週は20年選手の中堅アーティストについて書いたが、今回はさらにその上のベテラン、桑田佳祐に関して。日本のポップ・ミュージック・シーンにおいて、誰もが疑うことなくトップに位置するのはサザンオールスターズだ。もちろんバンドとしても優れているとはいえ、フロントマンである桑田の才能と実力あってこその人気ともいえる。
そんな桑田佳祐のソロ名義の新曲が、今週2位にランクインした「ヨシ子さん」(【表1】)。ダンサブルでエスニック調のかなり変わった楽曲だが、3年3ヶ月ぶりのリリースということもあって、プロモーションに相当力が入れられている。6月の頭には特設サイトが立ち上がり、その辺りからツイッターでのつぶやき数が増え(水色のグラフ)、ラジオのオンエア解禁にともなって先週と今週はオンエア回数もトップ(緑のグラフ)。他にもTV番組の出演で話題性を高めるなどし、発売週を迎えている。惜しくもGENERATINSに首位を譲ったが、ベテランならではの返り咲きの可能性も捨てきれない。一度聴くとクセになる曲調も合わせて、今後も注目すべき一曲といえる。
そして、桑田はもう一曲「大河の一滴」が、今週11位にランクインしている(【表2】)。この曲はシングル・カットではなく、あくまでも「ヨシ子さん」のカップリング曲である。しかし、UCC缶コーヒーのCMソングということもあり、「ヨシ子さん」よりも少し前からプロモーションがスタート。特にラジオでのオンエアが大々的に行われ、初登場の6/6付では2位、6/20付では1位を獲得している(緑のグラフ)。7/4付からは急落しているが、これはうまく「ヨシ子さん」とスイッチした証拠。そして、発売週を迎えてチャート自体は急上昇したというわけだ。
もともと根強いファンがいてポテンシャルが高い上に、タイアップやテレビ出演、そしてベーシックなラジオのオンエアなどを巧妙に組み合わせ、2曲同時に上位へ送りこむプロモーションはさすが。今週は発売週だったが、まだまだ仕掛けがあるのかもしれないと思うと、やはり注目せざるを得ないアーティストなのだ。text by 栗本斉
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